HACCP(ハサップ)は、1960年代にアメリカで宇宙食の安全性を確保するために考えられた食品衛生の方法です。
食品製造のそれぞれの過程で食中毒菌汚染や異物混入などの危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る各工程で危害要因を除去または軽減する対策をとり、記録に残すなどの安全衛生の管理を行い、食品の安全性を確保する手法です。製造された食品を最終段階で検査するという従来の方法に比べて、高い安全性を保つことができることから、食品流通の国際化の進展に伴って、世界各国でも取り入れられるようになっています。
アメリカ合衆国や欧州連合(EU)に輸出される水産食品や肉食品についても、HACCPで衛生管理を行うことが定められており、厚生労働省など公式の認定団体の認定を受けなければ輸出ができなくなっています。今後さらに食品流通の国際化は広がると考えられ、HACCPの手法が国際基準として求められることが考えられます。
それに向けて、日本でもHACCP支援法など必要な法令を制定するとともに、食品衛生法も改訂され2020年には全ての食品関連の事業者に対してHACCPが義務化されることになりました。求められる内容は事業者の規模に応じて異なる部分がありますが、1年間の猶予期間が終わる2021年には完全に義務化されるため、対応できていない場合は食品衛生法違反となります。そのため、余裕を持って改定食品衛生法に対応していく必要があります。