食品流通の国際化が進む中、輸出入される食品や原材料についての安全性が大きな問題になってきました。
食品を輸出入するそれぞれの安全衛生基準が異なる場合には、輸出入の手続きが煩雑になったり、再検査が必要になったりしてスムーズな流通の妨げになる場合もありました。その課題を解決するためにHACCP(ハサップ)が食品衛生管理の世界標準として取り入れられるようになりました。HACCPは、1960年代にアメリカ合衆国でアポロ計画を進める際、宇宙食の安全性を確保するために考案された手法です。
従来の食品衛生管理は、最終段階の食品について検査を行うことが主流でした。しかし、原材料を入手してから加工し、製品としての食品が完成するまでには、食中毒につながる菌の発生や異物の混入など様々なリスクが存在します。HACCPでは、これらの工程で起こりうる危害因子を分析し、除去や軽減できる対策をリアルタイムで行い、記録して工程の次の段階に移すという徹底した安全管理を行います。
このことから、HACCPの手法を導入して食品の安全衛生管理を行うことが、世界標準として求められるようになりました。日本でも食品衛生法が改定され、2020年6月から、HACCPの導入がすべての食品関連の事業者に義務化されることが決定しました。事業者の規模によって、取り入れなければならない管理方法は異なりますが、猶予期間の終わる2021年6月にはすべての食品関連事業者に適用されるため、速やかな対応が求められています。